酒井 謙司
キャリアインタビュー

理学療法士、行政、そして事務長。 一つの病院で積み上げた、自分だけの道。

酒井 謙司医療法人桂名会 木村病院 総務部 事務長・理学療法士

キャリアインタビューは こんな人にぜひ読んでいただきたい

  • 現職を離れずに、キャリアの幅を広げたいと考えている

  • 現場の経験を、組織や仕組みづくりに活かしたいと考えている

  • 医療専門職から事務職・管理職へのキャリアに関心がある

キャリアの悩みを抱えるあなたに、 ぜひ知っていただきたい選択肢があります。

インタビュー

【インタビュー第二弾】医療法人桂名会 木村病院 総務部 事務長・理学療法士 酒井 謙司さん 

【インタビュー第二弾】医療法人桂名会 木村病院 総務部 事務長・理学療法士 酒井 謙司さん 

理学療法士として回復期リハビリテーション病棟に立ち、官民人事交流で行政の現場も経験。現在は事務長として病院経営に携わる酒井謙司さんにお話を伺いました。

キャリアストーリー

01 入職(理学療法士)

「人と向き合う仕事がしたい」その思いから、理学療法士の道へ。

高校時代、部活動でスポーツに打ち込むうちに、人体のメカニズムや運動機能に関心を持つようになりました。そこから職場見学会に参加し、理学療法士が働く姿を目にしたことが、進路を決めるきっかけに。患者様と一対一でじっくり向き合い、回復までのプロセスに長期間にわたって伴走できる。そして、医療の知識や技術を通して、人の役に立っていることを直接実感できる。理学療法士という仕事を目指した瞬間でした。

木村病院を選んだのは、専門学校の講師として木村病院のリハビリテーション科長が来ていたこと、そして実習先でもあったことが理由です。回復期リハビリテーション病棟があり、多くの疾患の回復過程を学べることに加え、患者様が「住み慣れた自宅や地域へ戻る」という大きな目標に向かう、最も濃密な時間を共に過ごせることにも魅力を感じました。

入職したのは2009年4月です。同期は6〜7人で、その後に入職した後輩も7〜8人ほどおり、職員が年々増えていく時期でした。回復期リハビリテーションをさらに充実させようという空気の中、職員全員が同じ意識を持っていましたね。当時の上司も、キャリアを形成するためにどのような経験を積むべきか、必要に応じて助言してくれる方ばかりでした。入職から17年が経ちましたが、今も判断に迷ったときは、先輩や上司に相談することは多いですね。

医療法人桂名会 木村病院とは?

木村病院は、地域の健康管理から医療、リハビリテーションまでを幅広く担う病院。昭和47年の開設以来、地域に根差した医療を提供してきました。運営する医療法人桂名会では、高齢化の進展や地域のニーズに応じて、地域包括支援センター、介護老人保健施設、サービス付き高齢者向け住宅、デイケア/デイサービスなどを運営しています。

02 現場(回復期リハビリテーション)

木村病院に勤めて十数年。新たなステージを考えるようになった。

同じ理学療法士でも、急性期、回復期、訪問リハビリ、老健と、身を置く場所によって役割は大きく変わります。私が長く担ってきたのは回復期リハビリテーション病棟。脳梗塞や骨折の術後、急性期を経て転院された患者様に集中的なリハビリテーションを提供し、在宅や社会への復帰を目指していきます。ここで提供できたものが、そのまま患者様の予後を左右する。歩けるようになるかどうか、退院後の生活の質が大きく変わる病棟です。責任は重いですが、それだけのやりがいがありました。

その後は役職者を任され、管理的な業務にも携わるようになりました。「もっとリハビリ職と看護師、介護職、医師がシームレスに情報共有できれば、患者様の離床もリハビリも進み、質の高いケアを提供できるのに」という悩みもありましたね。それぞれの専門性が高いからこそ、互いの視点や事情が見えにくくなる。意見のすれ違いが起きることに、歯痒さを感じていました。

そんな頃、リハビリテーション部の事業計画の説明会がありました。同会の最後にNRHA加盟法人へ「官民人事交流の公募」の案内があったのです。木村病院一筋で、知っているのは理学療法士としての一面だけ。もっと知見を広げ、成長した形で木村病院に貢献したい。そう考え、手を挙げました。

木村病院に勤めて十数年。新たなステージを考えるようになった。

官民人事交流とは?

「官民人事交流法(国と民間企業との間の人事交流に関する法律)」に基づく制度です。官民の相互理解を深め、双方の組織の活性化と人材育成を図ることを目的としています。 民間企業等の従業員が国の機関の職員として勤務する「交流採用」と、国の職員が民間企業へ赴く「交流派遣」の2つの形態があり、任期は原則3年以内(必要に応じて最長5年まで)。任期を終えると、元の企業・法人へ復帰します。対象となる民間企業等には医療法人も含まれ、府省のすべてが受け入れ先となり得る制度です。

03 出向(官民人事交流)

国や行政の視点から、医療を考える。すべてが初めての仕事でした。

所属したのは、厚生労働省の医療機関に関わる制度を所管する部署でした。行政の職員の方々は、病院の現場を直接は知りません。だからこそ「病院の運営は実際どうなっているのか」「リハビリテーションの現場は何に困っているのか」と、現場視点の意見を求められることが多かったです。

業務で特に印象に残っているのは、国会審議に向けた大臣等の答弁資料の作成でした。医療や介護の政策に関する質問に対し、限られた時間で論理を組み立て、一言一句を文章へ落とし込んでいく。国権の最高機関である国会で交わされる言葉に関わる仕事ですので、責任の重さは想像以上でした。文書の作法から学ぶことばかりで、これまでにない経験になりました。

ほかにも、医療機関への周知や広報、必要に応じた指導。他省庁と協力して進める仕事もあれば、関係団体との調整、国民の皆様からのご意見をお預かりして、丁寧にご説明する場面もありました。病院にいたままでは、経験できなかったことばかりです。病院の外から医療を見た2年7か月。この経験が、今の仕事の土台になっています。

国や行政の視点から、医療を考える。すべてが初めての仕事でした。

04 就任(総務部 事務長)

理学療法士から事務長へ。現場を知るからこそできることがある。

任期を終えるとき、理学療法士として現場に戻るか、事務職として新たな立場に就くかという選択がありました。行政での知見を活かせるのはどちらかと考え、選んだのは事務職でした。臨床に「制度と経営」の視点を重ねた理学療法士に、どんな価値が出せるのか。それを示してみたいと思いました。事務長補佐を約1年務め、事務長になって数か月が経ちました。

現在の業務は、病院経営と組織のマネジメントが中心です。収支の管理や集患・増患の対策、地域の医療機関との連携。採用や労務の管理もあれば、行政機関への申請や届出もあります。直近では、増床と地域包括ケア病棟への転換に向けて、東海北陸厚生局への届出の準備を進めてきました。届出ひとつで、病棟の体制も経営の方針も変わってしまう。そうした重さのある業務にも向き合っています。

今、事務長として大切にしているのは、現場と経営の間に立つこと。病院経営の数値や方針は、現場に伝わりにくいものです。その意図を翻訳して現場へ伝え、逆に現場から上がった声は、仕組みに反映させていきます。もともと現場の理学療法士だった私は、臨床の話にも同じ目線で応えられます。現場のスタッフから相談を受けることも少なくありません。理学療法士の頃に歯痒く思っていた職種間の壁も、今はこの立場から動かしていける。それが、事務長になった一番の意味だと感じています。

「患者様の気持ちになって考える」「できる方法を一緒に模索する」、そして「専門性より人間性」。この三つは、どんな場面でも忘れないようにしています。事務職としての経験値は、まだまだ足りません。それでも、患者様からも職員からも選ばれる病院をつくっていきたい。「木村病院っていいよね」と言われるには何が必要なのか、日々考え続けています。

理学療法士から事務長へ。現場を知るからこそできることがある。
同じ場所にいながら、まったく違う景色を見てきました。

同じ場所にいながら、まったく違う景色を見てきました。

臨床、行政、そして病院経営。私はこの17年を、一つの病院を軸に歩んできました。新しい環境への挑戦には、勇気が要るかもしれません。それでも、自ら決めた挑戦を温かく支えてくれる仲間が、NRHAにはいます。今の自分だけでは答えの出ないことも、他の加盟法人に相談し、力を借りられる。そんな環境があります。ぜひ、私たちと一緒に新たな一歩を踏み出してみませんか。

NRHAなら法人間での
キャリアチェンジが可能!

NRHA 法人間ネットワーク図

NRHAには50法人、400以上の医療機関や介護施設などが加盟しています。これまでの看護経験を活かしながら、加盟法人の間で新しい領域へステップアップできる仕組みは、あなたの次なる挑戦への力強い支えになるはずです。また、元の職場の仲間ともつながり続けられるため、環境が変わる不安が少なく、安心して次のステージへ進めるのも大きな魅力です。ぜひ、あなたにあった働き方をNRHAで探してみてください。

あなたにフィットする職場はどこ?

領域ごとに異なるやりがい

  • 理学療法士(回復期)

    理学療法士(回復期)

    多くの疾患の回復過程に関わるため、幅広い知識と技術を身につけられる環境があります。患者様と長い時間をかけて向き合い、ご家族とも関わりながら在宅復帰を目指します。歩行や動作の変化を間近で確かめながら、退院までの道のりを支えるやりがいがあります。

    こんな想いを持つ方へ

    患者様お一人おひとりと長く向き合い、回復を支えたい人
    幅広い疾患に向き合いながら、知識と技術を磨きたい人
  • 医療事務

    医療事務

    医師や看護師、コメディカルが患者様に専念できるよう、バックオフィスから病院全体を支える役割です。経営や人事、行政対応まで幅広く関わるため、病院運営の全体像を掴むことができます。人員体制や業務の運用を整えることで、医療の質と職員の働きやすさの両方を高められます。

    こんな想いを持つ方へ

    現場の視点だけでなく、制度や経営から医療を捉えたい人
    体制や運用を整えることで、医療の質と働きやすさを高めたい人

同じ法人に在籍しながら、理学療法士から行政、そして事務長へと歩まれたキャリアは、環境を変えずとも視野は広げられることを教えてくれます。その入口を開いたのは、加盟法人同士のつながりでした。(NRHA編集部)