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理事長挨拶

理事長挨拶

梅村 将成 理事長

変革の主語は、私たちだ

私たち「一般社団法人地域医療未来創造ネットワーク(NRHA/ナーハ)」の設立から二年が経ちました。「持続可能な地域医療の未来をともに創る。」という使命は私たちの目指す変革の背骨となっています。

昨年度は加盟全組織がチームで改善を積み重ねて解決に導く「現場力」の向上に取り組み、各拠点で「より良い医療・介護とは何か」を自ら問い、変化を生み出す風土が育ってきました。そして、法人という境界を越えた連携も、各地で始まっています。単一の法人・拠点では対処が困難な事態に備える合同災害研修、医療法人が合同開催する地域向けイベント。顔の見える信頼関係を基盤とした実践が、着実に成果につながっています。

一方で、私たちが向き合う現実は、昨年よりもさらに鮮明になりました。総務省「労働力調査(2026年5月分)」によれば、医療・福祉の就業者数はすでに約977万人、全就業者の14.2%に達しています。そして新たな地域医療構想の議論が示す通り、医療需要がピークを迎える2040年には、およそ5人に1人がこの業界で働かなければ社会が回らない。そんな推計さえ示されています。現役世代が大きく減少するこの国で、これ以上「人の踏ん張り」に頼り続ける体制は、果たして持続可能なのでしょうか。私はもう、限界に来ていると考えざるを得ません。

だからこそいま確立すべきは、限られた人員でも質を決して落とさない、省力化・効率化された医療・介護のかたちです。定型業務はテクノロジーに委ね、私たち医療・介護従事者は人にしかできない処置や手技、そして患者様の心に寄り添う時間にこそ力を注ぐ。それができたとき、日本が長年培ってきた良質な医療・介護を子どもたちの世代へ手渡せる。私はそう確信しています。

そしてこの変革を推し進める最大の力は、トップダウンの号令ではありません。医療・介護は、働く人そのものが価値を生み出す労働集約型の世界です。だからこそ現場を知る者が自ら声を上げ、自ら動く。現場が主導権を握るボトムアップの文化を土台に変革は生まれます。

考えてみてください。なぜ医療界でデジタル化はこれほど遅れているのか。そこには現場に立つ者にしか見えない運用の壁や心理的な抵抗といった本質的なボトルネックが必ずあるはずです。仕組みや制度が実社会で機能するかどうかは、現場の実情をどれだけ政策に織り込めるかにかかっています。私たちNRHAはこうした構造的課題への仮説を現場の声から掬い上げ、政策的な大局観と臨床のリアルを融合させ、「現場が実装できるかたち」を自ら実証し、社会に提示していきたいと考えています。

「誰かがやる」ではなく、「私たちがやる」。この一年、同じ覚悟を持つ仲間が着実に増えていることを何より心強く感じています。立場や組織の境界を越えて、持続可能な地域医療の未来を仲間とともに創ってまいります。

※出典:総務省「労働力調査(基本集計)2026年5月分」

一般社団法人地域医療未来創造ネットワーク
理事長/医師

梅村 将成

NRHA×CUC 代表対談